ジョーティッシュをナクシャトラから観るシリーズ。セレブリティーの誕生ホロスコープを27星群からチャート分析しています。
今回は、1997年8月にトンネル事故で亡くなったイギリスのダイアナ妃の幼少時代と結婚生活にフォーカスしながら彼女の生きざまにグラハ(惑星)とナクシャトラ(27星群)がどう影響しているかを中心に分析してみました。
■ ダイアナ妃が幼少期、そして結婚生活で愛を求めても空虚感と孤独にさいなまれた理由を追求するジョーティッシュでもナクシャトラに特化したホロスコープ分析
今回もインド占星術 ナクシャトラ ホロスコープ分析から読み解いていこうと思います。
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※2024年4月21日よりスタートする「インド占星術、ジョーティッシュを学ぼう ナクシャトラ・マインドマッピング 第4期」で、ナクシャトラをベースとしたチャートの細かい見方などお伝えいたします。
■ Princes of Wales, ダイアナ妃
ダイアナ妃(ダイアナ・フランシス・スペンサー、1961年7月1日 - 1997年8月31日)は生前、人道支援活動にも活発な魅力的なプリンセスとして国際的なアイコンとなり絶大な人気を得た。ダイアナ妃は、チャールズ3世(当時ウェールズ皇太子)の最初の妻であり、ウィリアム王子とハリー王子の母。
ダイアナは貴族の家に生まれ、王室の近くで裕福に育つ。1981年、保育士の助手として働いていた彼女は、エリザベス2世の長男チャールズと入籍。同年7月にセント・ポール大聖堂で挙式。しかし結婚当初から(正確には結婚式を挙げる前から)ダイアナはチャールズのどこかよそよそしく事務的な態度に、本当にわたしを純粋に愛しているのか、と常に疑問を持つ。実際チャールズには愛人カミラがいて、二人の関係が途絶えることはなかった。皮肉なことに後にイギリスの王妃となるのはカミラであった。
ダイアナはチャールズの冷たい態度に戸惑い、精神が不安定となり結婚式の前から摂食障害を発症してしまう。チャールズとダイアナの愛のない結婚生活は改善することはなく、その後それぞれの婚外恋愛も報道されダイアナにとってはつねに苦しいものとなった。1992年、夫婦の関係の破綻が報道され別居に入り、1996年に離婚。
ダイアナ妃は、エイズ患者に対する社会的態度の改善とその受容、国際赤十字を通じて推進された地雷撤去、がんや精神疾患に苦しむ人々のケアなど幅広い人道支援に従事した。
*今回のナクシャトラにフォーカスしたインド占星術分析は、ダイアナ妃自身の50分以上の肉声テープも参考に、ダイアナ妃のホロスコープ、結婚と事故当日のトランジットを重ね合わせ行いました。
■ 裕福でも孤立し淋しい幼少時代
ダイアナによると、父エドワード・ジョン・スペンサー(第8代スペンサー伯爵)はパーティーや社交に忙しく、毎日ハグして愛情を向けてくれるような人ではなかったといいます。そして母もよく泣いており、わたしは姉たちや弟と一緒でも孤立して淋しかったと、子供時代を振り返っています。彼女の育った環境を表す2ハウスの支配惑星グル(木星)は3ハウスで減衰。木星特有の希望や楽観の欠如は同じマカラ(山羊座)にある土星とのコンジャンクションによって更に増幅されています。実際木星も土星もヴァクリ(逆行)であることからその影響は1つ前の2ハウス(幼少時代)の裕福であっても子供らしく天真爛漫にはなれないジレンマを示唆しています。ダイアナの華やかでありながらどこか淋し気な美貌・容姿と話し方(2ハウス)も土星木星の影響が窺えます。
彼女が富豪の娘として生まれたことは、ホロスコープで大きく2つの特徴として出ています。
1つは2ハウスと対局のミトゥナ(双子座)にあたる8ハウスのアルドラ・ナクシャトラのブッダ・アーディッティヤヨガ~水星(逆行)と太陽のコンジャンクション。8ハウスは不労所得を意味しますから後に王室に嫁ぐこと、そして水星と太陽は実家(2ハウス)をアスペクトしていますから貴族生まれであることが出ています。
ブッダ・アーディティヤヨガは社会的な名声を与えるため、ダイアナ妃は常に伯爵や王室と縁がある人生を送ったことが分かります。ただしそれは8ハウスで起こっているので、必ずしも彼らが人格を持ち合わせ、普遍的真理に目覚め霊的に進化した魂だとは言えません。
さて当の水星と太陽はアルドラ・ナクシャトラに位置しています。アルドラのシンボルは涙の雫。さらにアルドラの支配神ルドラはサティーと結婚するものの親族との確執により後に彼女と悲劇の別れを体験します。ダイアナ妃の愛が無いつねに涙を流していたという悲壮感溢れる結婚生活にはアルドラの影響がダブります。
話を戻して彼女が大富豪の貴族出身であることはには、もう1つ理由があります。それはマカラ(山羊座)で減衰しているはずの財を支配する木星にありました。山羊座11°46’の木星は、勝利の星アビジットナクシャトラにあるからです。正確にはアビジットナクシャトラは6°40’~11°13’までですが、ダイアナの逆行したパワフルな木星はアビジットナクシャトラにしっかり入っていると言えましょう。この3ハウスのアビジットナクシャトラの木星は彼女の姉や弟も財産に恵まれていることを意味しています。
さらにダイアナのラグナ(アセンダント)は、神々の中の皇族インドラ神支配の高貴な
ジェシュタ・ナクシャトラであることからも、彼女が結婚前にもレディー・ダイアナという称号で呼ばれていること、またプリンセス役にもすんなり入っていく素質を持ち合わせていることが明らかです。
■ 愛のない結婚生活~ダニシュタの月とクリティカの金星
チャールズ皇太子にプロポーズされた時はジョークかと思ったけど、すぐにイエスと伝え、わたしは本当に彼を愛していた、ダイアナ妃はそう語っています。そしてチャールズも私のことを真に愛していると信じていた、と。
しかし出会った当初からチャールズ皇太子には、恋人カミラの存在がちらついていたのです。チャールズと交際が始まるとすぐにダイアナ妃の「マスコミに追い回される日々」が始まります。独身生活最後の日、父から買ってもらったマンションの部屋に入る時、警備の警察がダイアナに言いました。「今夜で自由とはさよならだから、思い切って楽しんで。」
そう言われた時、ダイアナは心を剣で刺されたような気がしたと、振り返っています。
婚約してもチャールズはカミラと別れる気配はありませんでした。貴族出身で華やかな見た目の処女である19歳の自分は都合よく結婚相手に選ばれただけで愛されていないのでは、とダイアナは結婚前から一気にナーバスになります。
さらにチャールズに少し太り気味だねと指摘され摂食障害がトリガーされ、結婚式までにはすでに体重が一気に落ちてしまいます。後にダイアナは、挙式の日を人生最悪の日と表現します。それでも挙式を境に流石にカミラの影は消えてくれるとまだ信じていたそうです。
しかし彼女の期待は無残にも裏切られ、カミラとチャールズの関係が切れることはありませんでした。
誰もが憧れる英国のプリンセスになったはずの彼女の結婚生活は理想とかけ離れたもので、そこに愛は欠損していました。彼女の空虚感は、心を表す4ハウスのマンガル(火星)とチャンドラ(月)のコンジャンクションと、どちらの惑星もダニシュタ・ナクシャトラにあることに起因しています。
ダニシュタのシンボルは太鼓や笛。どちらも中が空洞で、好きな人といても感じる空虚感を表します。実際ダニシュタの月や、そこに惑星がしゅうちゅうしている人の離婚率は高いとされています。また火星支配のダニシュタにケートゥのようなパーパグラハ(凶惑星)がいると、女性であれば夫や父、職場の環境において男性に支配される図式に陥りやすくなります。これはダイアナ妃の生涯にぴたりとあてはまります。
次に結婚を表す彼女の7ハウスを見てみましょう。金星支配のヴリシャバ(牡牛座)にシュクラ(金星)がスワクシェートラ(自室)で位置しています。一見愛に溢れた7ハウス(結婚)に見えますが、度数に着目すれば1°4’でサンディグラハであることが分かります。この位置では金星が特に愛情面で力を振るわず相思相愛で満足な恋愛や結婚生活には結びつきません。さらにここはクリティカ・ナクシャトラにあたり、交際相手、また本人も相手に対してついつい批評的で皮肉な物言いをすることがあり口論にもなりやすいのです。
世間から観ればまるでロマンティック小説のような幸せの絶頂のはずの結婚式の次の日には、既に疲れ果てて泣いていたというダイアナ妃。ハネムーンの間もチャールズは彼女よりも持参した本に夢中で読書に専念。心のすれ違いからダイアナは手あたり次第目の前にあるものを食べ、2分後には吐いてしまうのです。そして3か月後の10月にはリストカットで自殺を考えます。このころから精神安定剤を与えられ摂食障害がひどくなります。これはやはりダニシュタ・ナクシャトラで月とコンジャンクションのケートゥの影響が大。ケートゥはドラゴンテール。頭とお腹とがつながっていませんから、食べた気がしない過食症や、その逆の拒食症など月(マインド)との近いコンジャンクションでは摂食障害に陥りやすいのです。
救いはこのタイミングでウィリアムがお腹にできたことでした。ダイアナの気持ちは一時的に晴れていったといいます。子供を表す5ハウスには惑星がありませんが、10ハウスの火星による子供のハウスのドゥリシュティ(アスペクト)で男の子に恵まれたのです。
またマンガル(火星)はラーフと近いコンジャンクションで2人の子供を授かることが出ています。ラーフの方が異端児のハリーでしょうか。どちらにせよ、この2つのグラハ(惑星)は見事に王室を意味するマガ・ナクシャトラにあることも非常に興味深いこと。
■ ダシャとゴチャラ(トランジット)の考察
さてダイアナがチャールズ皇太子に出会ったのは、ラーフ太陽期で結婚はラーフ火星期。
先述の通りダイアナ妃のラーフは火星とマガ・ナクシャトラで10ハウスにあたることから、この結婚は彼女にとってキャリア・天命色が濃く、今生の使命であったことが分かります。
実際彼女自身も、チャールズとの愛の欠損を埋めるかのように、チャリティー活動を通して人々との触れあいを大切にするようになり、27、8歳になるころにはこれがわたしの運命なのだ、と状況を受け入れるようになったと語っています。
皮肉なことにダイアナが13歳の時、将来は一流の大使とでも結婚して公人になりたい、と周りに話していたといいます。
結婚式にはケートゥがアビジットナクシャトラを通過し、ダイアナの土星と木星にぶち当たっていたことで、言うまでもなく皇室に嫁ぐことが彼女の運命であったことが明らかです。
そこが3ハウスであることから、マスコミに最期の瞬間までことごとく追い回される彼女の運命を物語っているかもしれません。
結婚当日、月と火星は8ハウスのアルドラ・ナクシャトラを通過しており、涙と波乱の結婚の幕開けをも暗示しています。
救いはやはり結婚して翌年の2月には木星期に突入したこと。木星は子供のカラカですから、すぐにウィリアムとハリー王子を授かったことも必然であったことが分かります。子供の頃、父に滅多にハグしてもらえなかったダイアナはウィリアムとハリーを毎日思いきりハグし愛情たっぷりに育てます。彼女の人生の宝は子供たち2人だったに違いありません。世界中で誰があなたたちを一番愛してると思う?それはママよ、と言って毎晩彼らを寝かしつけたと語っています。
夫との愛には恵まれなかったものの、国民の愛と子供たちの愛情を一身に受けたダイアナの木星期の恩寵は今生の救いだったことでしょう。
時は過ぎ、木星金星期になると、自らも極秘で著者アンドリュー・モートンに情報提供したという暴露本も出版され二人は別居、木星火星期の1996年には離婚が成立します。
そして1996年7月、ダイアナはエジプトの大富豪ドディ・アルファイドと再会。ドディ・アルファイドは、ロンドンのデパート・ハロッズやパリのリッツカールトンのオーナーの御曹司で、映画プロデューサーとしても大成功を収めていました。
プレイボーイとして知られた彼でしたが、1997年7月にダイアナとのロマンスがスタート。ダイアナはウィリアムとハリーを連れドディのヨットに乗りヴァカンスを愉しみました。 8月、子供たちをスコットランドの父のもとに送り届けた後も、ダイアナとドディが南フランスで過ごす様子をパパラッチがとらえています。そして8月31日の運命の日、ダイアナの木星ラーフ太陽期に、二人はパリで自動車事故に遭い共に帰らぬ人となったのです。
*1997年9月1日は部分日食で、8月31日はティティ(月のフェーズ)で蝕に向かうチャトルダシ(14日目)で留意が必要な日とされています。
翌年199年の2月に始まる土星期を迎えることなく、ラーフ期の最後と16年の木星期を公人として駆け抜けたダイアナ妃。人道的で弱者への愛に溢れる彼女のハートは、魂を表す彼女の太陽があるアルドラのシヴァの慈悲につながります。
ある意味王室の伝統を「破壊する」役割も担ったダイアナ妃ですが、彼女の意図は決してそうではなく、ウィリアムとハリーが生きやすくなるため彼女なりの革命を起こしたかったということです。
その心は21世紀の英国ロイヤルファミリーを担うウィリアムに託されていることでしょう。今後木星期を迎えるハリーが将来王室とどう関わっていくかの動向も注目されるところです。どちらにせよダイアナが天界から愛一杯に彼らを導いていることでしょう。
ダイアナ妃のジョーティッシュはナクシャトラベースの ホロスコープ
インド占星術 ジョーティッシュのホロスコープチャート分析 ダイアナ妃編いかがでしたか。
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ジョーティッシュ ナクシャトラの新規コース2024年4月21日(日)スタート。
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それまで予習したいな、という方は、ミスティカル・ライト 主宰 飯島淳之亮著
『まだ誰も知らない27星群ナクシャトラ』をお読みください。
今回取り上げたヴァルゴッタマ、プシュカラ、アシュタマムサについても本書で取り上げています。
ダイアナ妃のホロスコープ分析いかがでしあか。ジョーティッシュをもっとナクシャトラにフォーカスして学びたい人は必見!
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